健康を守る鍵は“睡眠時間の確保” 未来の健康のためにも体内時計を意識した生活をしよう
現代社会では、多忙な生活やストレスによる睡眠不足が多くの人々にとっての課題となっています。アデッソでは、こうした課題に向き合い、「睡眠」に着目した時計の開発を進めています。光で自然に目覚める目覚まし時計や、赤ちゃんから大人まで家族全員の睡眠改善をサポートするホワイトノイズ機能付きの時計、短時間の昼寝を快適に促すパワーナップ用振動式腕時計など、科学的視点に基づいた新商品の開発に取り組んでいます。
今回、管理栄養士であり睡眠改善インストラクターとしても活躍する篠原さんをお迎えし、睡眠の重要性や体内時計を整えるための具体的なアプローチについてお話を伺いました。篠原さんの専門的な知見とアドバイスを通じて、アデッソの商品がどのように快適な睡眠の手助けを出来るのかを深掘りしていきます。
管理栄養士・睡眠改善インストラクター・日本抗加齢医学会認定指導士
篠原絵里佳さんは、管理栄養士としての長年の臨床経験と、日本抗加齢医学会認定指導士、睡眠改善インストラクターとしての知識を活かし、「食事」と「睡眠」の両面から健康と美容をサポートする専門家です。総合病院や腎臓内科クリニックでの勤務を経て独立後、体の内側から健康と美を整える「睡食健美」という新しいアプローチを提唱。現在は、女性の健康やプレコンセプションケア(将来の妊娠を考えながら健康に向き合うこと)に注力し、婦人科クリニックにて栄養相談・睡眠相談を担当しています。
また、抗加齢医学や栄養学の分野で数々の講演やセミナー、コラム執筆、メディア出演を通じて、幅広い層に向けて科学的に裏付けられた知識をわかりやすく発信。乳がんサバイバーとしての経験から、検診や予防の重要性についても積極的に啓発活動を行っています。
さらに、アロマアドバイザーや野菜ソムリエプロとしての資格を活かし、香りや食を通じて心身の健康を整える方法を提案。働く女性やアスリートのライフスタイルサポートにも力を入れており、心と体が輝く日々を送るための多角的な支援を行っています。
記事サマリ
- ・質の良い睡眠を取るには、まず十分な睡眠時間を確保することが重要です。睡眠不足では「睡眠の質」を高めること自体が難しくなります。
- ・健康のためには、体内時計に合わせた規則正しい生活を心がけることが一番効果的です。
- ・適切な睡眠時間や食事内容は年齢やライフステージによって異なります。世の中に広められている根拠のないノウハウに囚われず、自分に合ったスタイルを見つけることが大切です。
- ・アデッソが実施したアンケートによると、睡眠の質が低下している原因として「外の音」や「家の中の音」を挙げる方が非常に多いことが分かりました。その一方で、ホワイトノイズのような睡眠に適した音があることを知らない方が多いのではないか、という点について篠原さんからご指摘をいただきました。
- ・アロマアドバイザーでもある篠原さんより眠る時間を香りで知らせる時計についてご提案を頂きました。
現代人に求められるのは睡眠時間の確保
長谷川:本日はお時間を頂きありがとうございます。現在弊社では、目覚めや睡眠環境を改善するための様々な商品を開発しています。今回は、たくさんの方の健康や睡眠に関するお悩みを解決されている篠原さんに、それらの弊社新商品についてアドバイスを頂きつつ、どんな時計が睡眠や目覚めを改善するのかというお話しも伺えれば幸いです。よろしくお願いいたします!
篠原:よろしくお願いいたします!管理栄養士、睡眠改善インストラクターの篠原と申します。生活習慣病の方などを対象として医療機関で栄養相談を行ったり、婦人科クリニックでのカウンセリングを通して、皆さんの健康と美容をサポートしています。
特に女性はホルモンバランスの影響で体調が優れない方も多くいらっしゃいます。そうしたお悩みを抱える方々に、栄養相談と睡眠相談を通して、食事と睡眠から健康的な体作りをサポートしています。
長谷川:HPを拝見したのですが、本当に幅広い分野でご活躍されていますよね。
篠原:皆さんが健康になっていってくださるのであればご協力したい、という思いで活動しております。体だけではなく皆さんの心も元気にできるような働きかけを心掛けています。
長谷川:健康になるためには一つの断片でなくて様々な角度からアプローチしないといけないということですよね。さっそく色々と教えて頂きたいのですが、篠原さんの元にご相談しにいらっしゃる方は、入眠時、睡眠中、起床時のどのタイミングでのお悩みが多いでしょうか?
篠原:朝すっきり起きられないという方が1番多いですね。夜眠るのが遅かったり、浅い睡眠になってしまったりしているので、朝起きられないのですよね。ただ皆さん共通して「朝起きるのは辛いものだ」と認識していて、それに対して「仕方がない、別に睡眠に対して悩みはない」と思っているのです。
だからカウンセリングをして、ぐっすり眠れるようになり、朝スッキリ起きられたときにやっと、今まではしっかり眠れていなかった事に気付いてくれます。
栄養相談に来てくれた方からよくよく話しを聞いていると、実は睡眠にも問題があったりすることもよくあります。割と多いのが、夜中1度も起きていないし、ぐっすり眠れているけど朝起きられない、昼間眠い、パフォーマンスも良くない、とお悩みの方ですね。
それは結局、夜中に目が覚めなくても、深くは眠れておらず浅い眠りが続いてる状態で、ぐっすり眠れているとは言わない、ということをお話しするのですが、そういうように自分では睡眠の不調に気付いていない、という方も一定数いると思います。
長谷川:確かに夜中に一度も目が覚めず眠れていることを、質の良い睡眠がとれている、と勘違いしている方は多いかもしれませんね。そういった慢性的な朝起きられない、朝が辛いというお悩みの根本的な原因は何なのでしょうか?
篠原:そもそもの睡眠時間が足りていない方がほとんどですね。
長谷川:やはりそうなんですね、7時間眠れば睡眠は足りる、という間違った睡眠ノウハウを信じてしまっていて、結果的に睡眠不足の状態の方が多いように感じます。以前、筑波大学の櫻井教授にも世の中に広まっている睡眠ノウハウは嘘のものも多いと教えていただきました。例えば眠りは90分周期で浅くなるから起きる時間を考えるときも90分周期を意識したほうが良い、というような世間一般で言われているノウハウも気にしなくて良いとおっしゃっていました。
篠原:本当にその通りでよく5~6時間しか睡眠時間をとれないので、睡眠の質を良くするにはどうしたら良いか、というご質問をいただくのですが、大谷翔平選手もおっしゃっている通り、量に勝る質はないのですよね。
睡眠時間が不足している時点で、質の良い睡眠はとれないです。まずは睡眠時間を確保する工夫をしなければいけないのです。
忙しくて睡眠にあてる時間がない、という方もよく聞いてみると眠る前にスマホをいじっていたりゲームをしていたりします。どうしてもそれがやりたいのであれば、早く寝て少しだけ早く起きてやった方が良いです。22時から6時間眠るのと、1時から6時間眠るのとでは、目覚めの感覚が違います。
長谷川:22時前くらいまですごく眠いのですが、23時を過ぎると目が覚めてしまうことがよくあります。22時前くらいの眠くなったタイミングでベッドに入れると、たくさん眠れるし明日も元気に頑張れるな、と前向きな気持ちになる感覚も自分の中で感じます。
篠原:体温が急激に下がる瞬間は眠くなるのですが、それを過ぎると寝つきにくくなってしまうものです。
適切な睡眠時間や食事内容は年齢によって変化するもの
長谷川:近年、健康に生きる、綺麗に生きるということに対する意識が男女問わず高まってきていますよね。
篠原:100年時代と言われるようになりましたが、100年生きるとなると老後の時間が長いということですので、体の機能がどんどん低下していってしまう中で、自分の心や体に対して何かできることはないのか、どうしたら健康を維持していけるのか、ということを考える方が増えてきたように感じます。
長谷川:皆さんが健康に強く興味を持ち始めている中で、その需要に合わせて世の中にはたくさんの健康や美容に関する情報があふれています。ただその情報も間違っていたりずれていたりすることもあり、みなさん本当に健康にとって意味がある正しい情報を求めているかと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか?
篠原:そうですね、もちろん本当に正しい知識を求めているという気持ちもあるかと思うのですが、一方で今まで自分がやってきたことを肯定してくれる、正当化してくれる情報を求めている方もいらっしゃいます。
例えば少し前に糖質オフの食事が流行りましたが、そのブームに倣ってご飯は食べないけれど焼肉ばかり食べているという方もいました。でもそういう食事を続けていると糖尿病になりやすくなってしまいます。
また私が頻繁に感じているのは、情報として間違ってはいないけれど、発信している側が対象としている人と、それを見て実行している人にズレがあるということです。
例えば、メタボリックシンドロームの男性向けに発信された食事情報を若い女性が見て、それを実践してしまったりしている場合があります。
意外と知らない方が多いのですが、睡眠も食事もそれぞれ適切なものは、ライフステージによって変わってきます。赤ちゃんはたくさん寝ないといけませんが、大人は赤ちゃんのように眠らなくても良いですよね。ご高齢の方は、7時間も寝なくて良い場合があります。年齢毎に眠り方も食事内容も変えていかなければいけないのですが、その必要性を知っている方はあまりいないのです。
体内時計を意識し生活のリズムを整えることが大切
篠原:健康や睡眠に対する様々なお悩みを抱えている方がいらっしゃいますが、共通して皆さんにお話ししているのが、体内時計を意識した生活を送ってほしい、ということです。食事内容の改善などよりもまずは体内時計を考慮した生活の仕方を意識してほしいです。出来るだけ体内時計にあわせた就寝時間、起床時間にすることからはじめると良いでしょう。
とはいえ、皆さん趣味だったりお仕事だったり何かに夢中になっていると、いつのまにか遅い時間になってしまったりしますよね。そういう方におすすめしているのが、私もやっているのですが、タイマーをセットする方法です。
設定したタイマーが鳴ったらお風呂に入る、寝る準備をするなど決めてしまえば、そこまで遅くなってしまうこともありません。寝る時間だけではなく、1日のうちにやるべきことの時間を決めておいて、タイマーをセットすればつい忘れてしまいがちなタスクもきちんと対応することができます。
作業に区切りをつける、というのはとても大切なことで、そうでないと仕事が忙しい方はずっと仕事を続けてしまいますよね。この時間がきたらもう今やっていることは終わりにして、少し電気を暗くして寝る準備をしよう、というような区切りをつけることが、1番大切だと感じています。
体内時計に合わせていつもより早めに就寝ができると、本当に日中のパフォーマンスが変わってきます。実際やってみて頂ければ、睡眠でどれほど生活の質が変わるかを実感できますよ。
寝るのがもったいない、という考え方でしたり、寝る間を惜しんで頑張るということが良いように言われることがありますが、夜はしっかり寝た方が日中に効率良くタスクを進めることができます。結果的にゆっくり過ごせる時間が生まれますよね。睡眠をしっかりとれば、今まで1時間かけてやっていたことが30分で終わりますよ。
生活習慣病の予防のためにも、健康のためにも何より大切にしてほしいのはリズムを大切にした生活を送ることです。この時間になったら食べて、この時間になったら眠る、というリズムをつけるだけで、多少ご飯の質が悪くても、睡眠の質が悪くても問題ないのです。
長谷川:実際に篠原さんは睡眠に対してどのような工夫をされていますか?
篠原:私は夜眠る少し前から部屋の照明を暗くしたり、シャワーで済ませずにお風呂につかったり、お風呂からでたら仕事はしない、といったことを工夫しています。その他にも日常にアロマを取り入れていて、寝る前と日中で違うアロマオイルを使用しています。
長谷川:なるほど、その香りがしてきたら寝る時間というのを脳に覚えさせるようなイメージですね。色々と実践なさっているのですね。ただ多くの人にとってはそういう行動が難しくて、夜になってもついついスマホを見続けてしまったり、ゲームをし続けてしまったりするように感じます。そういう方達に対して、自然と眠りにつくためのフォローが出来る時計を開発していきたいと思っています。
篠原:そうですね、睡眠の先生から聞いたお話しなのですが、お子さんが寝ないというご相談を受けた際に、寝る時間になったら照明を落として部屋を暗くする、というアドバイスをしたら、本当にそのお子さんも自然と自ら眠るようになったそうなのです。
そういったように、強い意志をもって寝ようとしなくても、自動的に寝る時間だな、と認識できるようなデバイスがあるととても良いと思います。
長谷川:やはり光の影響は強いのですね。それも結局、夜は部屋を暗くすることで体内時計が整ったということでしょうね。
アデッソでも光には注目しておりまして、光で目を覚ます時計を開発しました。特に冬は朝日が昇るのも遅いですし、太陽の照度も低いので、皆さん起きるのが辛いですよね。この時計は、光で徐々に覚醒させていって、最後に自然の音楽がかかることによってゆったり気持ちよく起きていただきたくというコンセプトで開発しました。
篠原:体内時計を整えるのにとても良い時計ですね!
篠原さんが考える生活のリズムを整える時計とは
長谷川:実際にどのような時計があれば、体内時計を意識して睡眠時間をしっかりとれる生活が出来るようになるでしょうか。
篠原:〇時だからもう寝る時間、というのを知らせてくれるような時計があると良いですよね。職場で仕事に集中しているときも、自宅でスマホにのめり込んでしまっているときも、誰かが「〇時だよ」と声をかけてくれるとハッとしますよね。そういうマネージャーのような役割を担ってくれる時計があると良いと思います。
匂いや香りの力は非常に強く、例えば勉強中に柑橘系の香りを身近に感じておくと、試験の際にその香りをハンカチなどにしみこませて持参し、試験前にかぐことで勉強した内容を思い出しやすくなる効果が期待できます。
このような香りの特徴を活かして、時間をセットすると決まったアロマの香りが漂い始める、といった機能を持つ時計があれば、とても魅力的だと思います。例えば、22時にアロマの香りが漂い始めたら寝る準備を始める、という流れを繰り返すことで、自然と習慣として身についていきますよね。
長谷川:私も匂いと記憶の繋がりは頻繁に感じます。毎年アメリカに行くのですが、空港について息を吸った瞬間に、匂いで今までのアメリカでの記憶が思い出されます。
篠原:そうですよね。そういった脳の仕組みを利用して、それぞれ朝昼夜と3種類アロマをセットできて、時間になると香って来るという時計があれば生活のリズムを整えるのにすごく役に立つと思います。
香りについても皆さんそれぞれ好みがあるので、色々と試して自分が眠くなるアロマ、元気が出るアロマなど、探してみるのが良いです。
自分一人だとどうしてもスマホやテレビ、仕事に熱中してしまっていつの間にか夜眠るのが遅くなってしまう人が多いと思うので、そのような香りで時間を知らせてくれる時計を開発して頂ければ、私もぜひ購入させて頂きたいです!
長谷川:なるほど、香りに着目したことはなかったのでとても面白いと思います。強制的にスマホを触れないようにする時計も開発したのですが、アロマの香りがすることにより自らスマホを辞められるようになったら良いですよね。
篠原:スマホを触れない状態にするのですね!スマホは寝る前は見ない方が良いと分かっていてもやめられないですよね。ましてや子どもの場合なおさら自分から辞められる子は少ないと思いますので、そういった時計も助けになると思います。
快適な眠りを妨げる音をホワイトノイズで遮断する
長谷川:ホワイトノイズ機能付の時計の開発も進めております。私の子どももなかなか寝ない子でして、睡眠環境を少しでも改善するためにホワイトノイズデバイスを使用していました。
アメリカでは赤ちゃんがいる家庭には普通にホワイトノイズデバイスがあるのですが、それに対して日本ではあまり広まっていないですよね。海外のものを買えることには買えるのですが、自分の経験を活かしたり、赤ちゃんの睡眠に詳しいプロの方にお話しを聞いたりして、少しでも私と同じように赤ちゃんの睡眠に対してお悩みがあるご家族の助けになる商品が開発できれば、と試行錯誤しているところです。
実は先日、25歳から45歳のお子さんをお持ちの500人の方へ、睡眠に関するアンケートにご協力いただきました。その結果、予想通り睡眠の質が悪いと感じている方が大体56%ぐらいいらっしゃいました。そして意外だったのが、睡眠の質が悪くなっている原因が、「外の音」や「家の中の音」だと感じている方が1番多かったことです。
私としてはスマホが睡眠に影響を与えている、と感じる方がダントツで多いのかと思っていたので大変驚きました。そして睡眠を改善する対策として皆さん、スマホの使用を控えたり、部屋の照明を暗くしたりなどされているようなのですが、音に対して対策をしている方はあまり多くなかったのです。
この結果を見て、みなさんの睡眠の際の音に対するお悩みを解決するためにも、ホワイトノイズは役立つのではないかと感じました。
私の感覚ですと、日本でホワイトノイズデバイスを使用している方、知っている方は少ないように感じます。なぜホワイトノイズデバイスはアメリカのように広まらないのでしょうか?
篠原:皆さん、音が睡眠に与える効果をご存知ないように感じます。隣のお家の音ですとか、外を走る車の音ですとか、寝る時に音がするととても気になりますので、音というとネガティブな印象を持ってしまう方が多く、眠りに対して良い音があるということはみなさん知らないのですよね。
今テレビなどでも睡眠の特集などがありますが、そこで主に話されるのはやはり部屋の光ですとか、スマホの光ですとか、光の話しが多くて音の話しがされることは少ないです。話題が出るとしても、家電などの連続音が急になくなったり、静かな環境で突然外から音がすると眠りに影響がある、というお話しです。
逆にこんな音が眠りに向いているよ、というお話しはなかなか出てこないです。皆さん経験があると思うのですが、電車に乗っているときや図書館にいる時など、一定の走行音が続いたり、心地よい自然の音が続いたりすると眠くなりますよね。
そういったように体感として、眠りに良い音があるというのは皆さん気付いているとは思うのですが、意識はされていないのです。まず睡眠にとって良い音がある、ということを皆さんに知って頂かないといけないと思います。
入眠時や睡眠中だけでなく、決まった時間にホワイトノイズが鳴り始める機能があれば夜寝る前の睡眠環境作りとしてすごく役に立つと思います。
睡眠不足の解消や午後のパフォーマンス改善のためのパワーナップ(昼寝)のすすめ
長谷川:オフィスや図書館など公共の場で短時間の睡眠をとりたい方が目覚まし時計として使用できる振動で起こすタイプの腕時計なども開発しています。
昼寝については、お昼に短時間眠ると、午後のパフォーマンスがあがったり、睡眠不足が解消されたりするので、政府も推進していた時期があったと思うのですが、現在はあまり注目されていないようです。
篠原:そうですね、取り入れている会社や学校などもあったようなのですが、夜眠れているから昼寝の時間は不要だ、という意見もあるようでした。ただ短時間眠ることでリフレッシュができる効果もあるので、効果を感じた人が声をあげてくれれば、また世間の昼寝に対する意識も変わってくるかもしれないですよね。
長谷川:眠らなくても10分程度目をつむるだけでも全然違いますよね。
篠原:違いますよね。電車通勤の方は、座れたらその間だけでも目をつむって眠るのが良いと思います。そのためにも腕時計で起きられたら良いですよね。私はよく新幹線を利用するので、振動で起きられるタイプのものがあるととても助かります。
長谷川:スマホの振動だと弱いですよね、この腕時計は結構しっかり震えるのでぐっすり眠っていても起きられると思います。私は子どもに夜起こされることが多かったので、会社のお昼休みなどは睡眠をとるようにしていました。
篠原:そうですよね、夜に睡眠時間が確保できない方は、お昼にそうやって短時間でも眠ることで睡眠不足で疲れている脳のリフレッシュになり、午後のパフォーマンス向上に繋がります。
実体験や生の声から生まれた日めくりカレンダー時計
長谷川:日付と曜日が大きく表示している時計は、認知症の方に日めくりカレンダーとして利用して頂いてとても反響がありました。私の祖母が認知症の手前のような症状が出始めた影響で曜日が分からなくなってしまいました。そのため、本来デイサービスがない曜日にデイサービスの準備をしてしまったり、逆に準備をしなくてはいけない日に出来ていなかったり、それがこちらの日めくりカレンダー時計のお陰で解決しました。
篠原:表示が大きく、遠くからでも見やすいのがとても助かりますね。温度などが表示されているものもあるのですね。湿度や温度が一目で分かると、寝室の環境管理に非常に役立ちます。これらの情報は、体温調節機能が低下しがちなご高齢の方にも重要で、安全で快適な空間作りをサポートする素晴らしい工夫だと思います。
長谷川:ありがとうございます!今、経産省が認知症になってからも自分らしく暮らし続けられる「共生」社会の実現を目指して、オレンジイノベーションプロジェクトという取り組みをおこなっており、アデッソも参加させて頂いています。
実際に認知症の方からアドバイスをもらったり、商品に関してフィードバックをもらったりして、認知症の方にとって便利で使いやすい製品やサービスを開発していこうという内容です。日めくりカレンダー時計以外にも、認知症の方にとって便利で使いやすい時計の開発ができればと考えています。
アデッソの商品開発はほぼ私が担当しているのですが、商品を開発するためには、実際に人のことを見て、何に困っているのか、どうしたらそれを解決できるのか、ということを考えなくてはいけないと感じています。
今回、篠原さんからお話しを伺うことができましたのもとても勉強になりました。より良い商品開発をするために役立てたいと思います、今日はありがとうございました!
篠原:こちらこそありがとうございました!