東北大学加齢医学研究所 川島教授 / 榊助教に聞くスマホ依存の危険性

2024.12.23

スマートフォンは、子どもから大人まで日々の生活に欠かせない存在となりました。しかし、その便利さの裏で、特に成長期の子どもたちにおいて、集中力や学力の低下、睡眠不足といった深刻な影響を引き起こすスマホ依存が社会問題化しています。ところが、依存から抜け出す必要性を感じている人が少ないのも現状です。

アデッソの副社長 長谷川も、子どもを持つ親としてその危機を身近に感じ、スマホ依存から脱却し自分の時間を取り戻せる時計を開発したいと考えました。スマホの使用時間を制限することで依存を軽減するだけでなく、その取り組みが人々の未来にどのような影響を与えるのかについても模索しています。

今回、その道筋を探るために、脳科学の専門家である東北大学の川島教授、榊助教との対談の機会をいただきました。対談では、スマホ依存が子どもたちの脳や生活に及ぼす影響について深掘りするとともに、私たちが開発を進めている時計への具体的なアドバイスもいただきました。

「時間」を取り戻し、より豊かな生活を実現するために、私たちが今できることを一緒に考えていきましょう。

 

東北大学加齢医学研究所教授の川島隆太さん、東北大学加齢医学研究所助教の榊浩平さん、アデッソ社長

アデッソ長谷川 川島教授 榊助教授

 

川島 隆太(かわしま りゅうた)教授 – 東北大学加齢医学研究所

東北大学医学部を卒業後、スウェーデンのカロリンスカ研究所での研究を経て、平成18年に東北大学加齢医学研究所教授に就任。平成26年から令和5年まで同研究所の所長を務め、脳科学の第一人者として活躍しています。

研究分野は、脳の加齢や認知機能、スマホ使用がもたらす影響など多岐にわたり、著書「スマホが学力を破壊する」(集英社新書)など400冊以上を執筆。査読付きの学術論文も600編以上を発表しています。また、任天堂と共同開発した「脳を鍛える大人のDSトレーニング」シリーズの監修を務め、記憶力や計算力を楽しく鍛える仕組みで広く支持を得ました。最新作「脳を鍛える大人のNintendo Switchトレーニング」では、遊びやすさと脳活性化効果の両立を実現しています。

それらの功績により、総務大臣表彰「情報通信月間」賞や文部科学大臣表彰「科学技術賞」など、多くの受賞歴を誇り、教育や健康分野への応用にも大きく貢献しています。

 

榊 浩平(さかき こうへい)助教 – 東北大学加齢医学研究所

2019年に東北大学大学院医学系研究科を修了し、博士(医学)を取得。2020年から東北大学加齢医学研究所で助教を務めています。専門は脳科学で、認知機能や対人関係能力、精神衛生を向上させる脳科学的な教育法の開発を目指した研究を行っています。

榊助教は、特に子どものスマホ依存やその影響についての研究に注力しており、日常生活でのスマホ使用が学力や脳の発達に及ぼす影響を科学的に検証しています。また、「スマホはどこまで脳を壊すか」(朝日新聞出版)などの共著を通じて、家庭や教育現場でのスマホ使用に関する提言を行っています。

さらに、教育現場での応用を視野に入れた活動にも取り組み、「生きる力」を育むための新たな教育法の開発を目指しています。その研究成果は、子どもから高齢者まで幅広い世代に向けた脳科学的な支援へと活かされています。

 

記事サマリ

• スマホ依存は特に子どもの集中力や学力の低下、睡眠不足など、成長に深刻な影響を及ぼしています。
• スマホ使用時間が多いほど学力が低下する傾向が明らかになっており、1時間以上の使用で成績に顕著な悪影響が確認されています。
• スマホ依存が子どもの脳の発達を遅らせ、前頭前野の活動低下を通じて思考力や記憶力に悪影響を及ぼすことが研究で示されています。
• スマホ依存は大人にも見られ、特に仕事の効率低下やストレス増加の要因に。適切な使用制限やスマホ管理の重要性が指摘されています。

 

スマホ依存は子どもの学校成績に影響する

モデレーター:まずはスマホがもたらす子どもへの影響についてお伺いしたいです。

榊:15〜16年間続けてきた宮城県の仙台市教育委員会との共同プロジェクトがあります。その中で、全国学力テストの成績情報を収集し、独自のアンケート調査を通して子どもたちの生活習慣や学習習慣に関するデータを分析してきました。この2つのデータを掛け合わせて、どのような生活習慣が学力に影響を与えるのかを長年にわたり分析した結果、スマホの使用時間が多い子どもほど成績が低いという関係が見られました。

具体的には、スマホを全く使わない子どもよりも1時間未満の使用の子どもの方が成績がやや高い傾向があり、1時間以上スマホを使うと成績が明らかに低下するという結果です。この傾向は約10年にわたり毎年確認されており、特に1時間未満の使用に収まる子どもの割合は、当初の約2割から1割以下に減少しています。このことから、自己管理能力が高い子どもが1時間未満の使用に収めていると考えられます。

長谷川:スマホの使用時間が少ない子どもほど成績が高いのはなぜでしょうか。

榊:なぜこのようなことが起きるのかをさらに深く考察しました。最初の仮説は、スマホの使用時間が勉強時間や睡眠時間を圧迫し、それが成績低下に繋がるというものでした。しかし、勉強時間や睡眠時間を考慮した分析でも、3時間以上スマホを使う子どもたちの平均偏差値が50を下回るという結果が出たんです。つまり、間接的な影響だけでは説明がつかないということになります。

次に考えたのは、勉強中にスマホを使う「ながら勉強」の影響です。人は一度に一つのことにしか集中できないため、勉強中にスマホを使うことで集中力が低下し、学習効率が下がると考えました。この分析では、集中して30分勉強する子どもたちの成績が、スマホをいじりながら3時間以上勉強する子どもたちと同じくらいであることがわかりました。つまり、集中して短時間勉強する効果は、ながら勉強で長時間かけても得られないということです。

スマホの使用が脳に与える影響については、2018年頃から行われた子どもたちの脳の発達を追跡する研究でも明らかになっています。そこでは、毎日インターネットを使う子どもたちの脳の発達が広範囲にわたり停滞していることが確認されました。前頭前野という重要な領域の発達が遅れることで、思考力や記憶力、コミュニケーション能力に悪影響が出ていることが示されています。脳は使えば発達し、使わなければ発達しないという性質があり、3年間も前頭前野を使わない状態が続くと、その発達に悪影響が及ぶことがわかっています。

長谷川:スマホ利用に影響を受けやすい年齢や時期はありますか。

榊:プロジェクトを始めた当初は、小学生のスマホ所有者が少なかった時期もありました。最近ではその数が増えているため、小学生や未成年者全般については、やはり悪影響が出る可能性が高いと考えるべきだと思います。

脳や睡眠に最も悪影響を与えるコンテンツ

スマホ依存がもたらす影響とは

モデレーター:スマホというデバイス自体は非常に便利で、有用性の高いツールであることに疑いはありません。しかし、利用する上でいくつかの課題も存在すると考えています。例えば、小学校1年生くらいではソーシャルネットワークサービスへの関心はそれほど強くないと思われますが、成長するにつれて、特に小学校高学年から中学生になる頃には、他人の行動や場所に強い興味を抱くようになり、これがソーシャルメディアへの没入や依存を引き起こす要因となる場合があります。

また、スマホの通知音や画面の動きは注意を引きやすく、これが注意力の分散や集中力の低下を招く可能性があります。この現象は、ソーシャルメディアやゲームを利用する際にも顕著に見られるものです。こうした状況について、具体的にどのような影響があるのか、またその根本的な問題について詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

榊:コンテンツで考えると、現在では主にネット動画が問題視されています。ネット動画がテレビと異なるのは、次々と推奨される動画が現れ、視聴をエンドレスに続けてしまう傾向にある点です。また、テレビはリビングに置いてあり、寝室には持ち込まれないのに対し、スマホやタブレットは寝るまで視聴が可能であり、この形態の進展によって依存の度合いはさらに高まるでしょう。年齢が上がるにつれて、SNSの影響なども重要になり、報酬としての「いいね!」などが依存に繋がることや、それに伴う社会的な問題も生じる可能性があります。

このような状況において、他者との比較によって自己評価が低下する傾向も見られ、これによりさまざまな問題が引き起こされる恐れがあります。特にネット動画やSNSでは、誹謗中傷といった問題がますます顕在化すると考えられます。アプリの使用にかかわらず、適切な使用方法を理解し、切り替えながら利用することが重要です。

川島:まず、スマホ自体は何の害もありません。ただの道具です。しかし、重要なのはその使われ方です。例えば、動画アプリなどで広告が挿入されたり、他のコンテンツに誘導されたりする仕組みがあります。ゲームアプリでは社交性を刺激し、依存を促進する構造が施されています。SNSでは情報が常に更新され、それを見ることで満足感を得る仕組みがあります。このように、アプリの設計には集中力を分散させる努力がなされており、これが最大の問題点です。

その結果、使用時間が無意識のうちに増えてしまうことがあります。このことが、睡眠の乱れや生活リズムの混乱など、さまざまな副次的な問題を引き起こす原因です。子どもたちもすでにこれらのアプリを使いこなしていますが、その結果として悪影響が生じることが明らかです。これは、技術の進歩を利用して人間の成長を促すアプリが不足していること、そして商業主義が集中力を短縮させる方向に働いていることによるものです。

長谷川:人間が技術に追いつけば問題ないという意見もあるようですが、それは実現可能なのでしょうか。言い換えると、スーパーサイヤ人のように、スマホを使いこなせるようになればいいという極端な考えですが、そんな簡単にそうなれるものなのでしょうか。

榊:使いこなすというのは、使い方を工夫することで、我々も実際に行っているところです。自己管理能力を高めるための方法としても取り組んでいますが、例えばそのようなテクノロジーを使っても、何の悪影響もないということは、生物学的な意味合いで考えるとおそらくあり得ないと思いますね。

SNS世代が高齢者になった未来

長谷川:これまでの議論を踏まえると、高校生などの若者は、睡眠や学力に悪影響を受けやすく、特にSNSの使用に関しては成人よりもスマホ依存が強い傾向があるかもしれません。この依存傾向が、社会に出る際に必要な能力や挑戦への準備不足を招く可能性が懸念されます。また、スマホと共に成長してきた世代の未発達な側面が、将来さらに顕著になることも考えられます。

こうした状況に対して、どのような社会的対応が必要とされるでしょうか。また、スマホ依存が子どもたちの成長や社会生活にどのような影響を与えると想定されるか、ご意見をお聞かせください。

川島:社会に出てからの課題でいうと、まず対人コミュニケーションがうまく取れないという点が挙げられます。そして集中力が続かない点です。さらに、うつ傾向や幸福度の低下といった問題も増加する傾向にあると考えています。これは、実際に若い社員に当てはまる現象ではないでしょうか。私の会社でも、若手の編集者を見ていてその傾向が顕著に感じられますね。

長谷川:今のSNS世代の人たちが何十年か後に高齢者になった時の未来について考えると、未来の高齢者がスマホ依存に陥る可能性もあるのでしょうか。

川島:今の子どもたちが大人になる頃には、私たちの世代と同様にICTのリテラシーが非常に高まっていると思います。その結果、現在の前期高齢者が後期高齢者になる時には、スマホ依存に陥る可能性があります。その時代には、コミュニケーションがスマホを通じてのみ成り立つと誤解する集団が増え、対人コミュニケーションが不足している状況が想定されますし、その結果、認知症の高齢者が増える可能性も考えられますね。

なので、私たちは上から目線で「使うな」と言うのではなく、みんなが使いたくなるけれど使いすぎて困っているという課題を認識し、そのうえでスマホの使用を減らそうとすることが効率的だと考えています。ユーザーと共感しながら、少しずつ生活習慣を変えるために、まずは無理のない範囲から始めてみることが大切なのです。

スマホ依存に対する保護者の問題意識

長谷川:実は、アデッソでは社会全体においてスマホに関する調査を行ったことがあります。調査では、無作為に小学校1年生から中学校3年生までのお子様を持つ親御さんに質問しました。その中で、2020年に出版されたベストセラー本「スマホ脳」について知っているかどうかを尋ねたところ、2000人中1400人が「全く知らない」と回答。その本に触れた人のうち、スマホ依存について気にしている人が15%、あまり気にしていない人も同じく15%でした。

この結果から、スマホ依存に関して啓蒙活動が行われているにもかかわらず、意外にもメッセージが伝わらないことがあると感じました。その理由として、問題意識よりもスマホの利便性があまりにも強力であるためだと考えています。この件に関して、普段積極的に発信や研究をされているお2人にもご意見いただきたいです。

川島:知識の発信源として主に書籍が挙げられますが、現代の多くの人々は本を読まない傾向にあります。それに加えて、ウェブ記事もほとんどがGoogleなどの検索エンジンによって興味関心のあるテーマがターゲットに表示されるシステムになっています。このため、教育やスマホのリスクといったテーマに本来関心がない人々には、効率的に情報を届けにくいのです。スマホやタブレットを多用している親も多く、親子のコミュニケーション機会が著しく減少していることが、お互いの無関心を招いていると考えられます。

長谷川:実際に仙台市の共同プロジェクトに携わる中で、意識や危機感の低さを感じることもありましたか。

川島:仙台市で行っている情報提供が保護者に実際に届いているかどうか、正直なところ、私たちはそのフィードバックを受け取っていないため、確かではありません。ただ、情報は主にプリントで提供しているのですが、保護者がそのプリントを本当に読んでいるのかという疑問があります。一般的な保護者の感覚から言うと、スマホの利用は何かしら問題があるように感じつつも、同時にみんなが使っていて、使わないわけにはいかないという気持ちもあります。ただ、これは意識が高い保護者の視点であり、無関心な保護者はより多くいるでしょう。

スマホ依存の危険性について効率的に情報を届けるには

モデレーター:お2人は書籍を出版されたり、メディアでスマホ依存に関する発信をされたりしていますが、どのような文脈や場所で情報が効果的に伝わりやすいと感じているか、教えていただけると嬉しいです。

榊:情報発信は重要ですが、私は学校現場に足を運んで生徒や先生たちと対話することが、最も現実的で意味のある活動だと思っています。これは私の立場がビジネスではないことを踏まえての意見ですが、地道な活動が最も成果を上げると考えています。

川島:やはり、教育に関心の高い人たちには情報がある程度届くと感じます。そのため、教育をテーマにした出版活動や雑誌、例えば「プレジデント」などを読む層には、情報が一定程度伝わると考えています。こうした層の多くは、問題意識を持っているものの、対策を講じる手段が難しいことや、問題を取り上げることができない状況に悩んでいる方が多いので、アデッソが開発しているスマホ依存にアプローチした商品は受け入れられやすいのではないでしょうか。

長谷川:それでいうと、サピックスや早稲田アカデミーといった塾に通わせている親御さんが、最初のターゲットになる可能性が高いと感じました。これらの塾に通わせている親御さんは一般的に教育に対する意識が高く、問題意識を持つ傾向があるのかなと。

川島:確かに王道と言えるでしょうね。その後、情報が拡散されれば、私たちの価値が発揮されるということですし、その先に広がらない場合は、次の戦略を積極的に考えなければなりません。榊が言ったように、対面でのコミュニケーションは効果がありますが、残念ながら対面できる人の数は限られていますので、その意味では厳しい状況ですね。

さらに、政府が進めるICTの教育への導入や、子どもたちの生活にICTが浸透していく風潮もあるので、教育現場においてもICTの活用を進める先生たちと、そのリスクを感じる先生たちとの間で実行されています。こうした状況では政府や国の協力を期待することはできないため、教育メッセージに高い関心を持つ経営者にアプローチし、彼らに製品の利点を理解してもらい、口コミで広めてもらえるように工夫することが重要です。

スマホ依存を脱却し生き抜く力を身に着けるための時計

長谷川:さまざまな悪影響が考えられる中、将来的に学校などでスマホの使用を制限され、授業中にはスマホを使えなくする措置が取られる可能性も考えられますか。

川島:現実には、自治体でスマホの使用を制限しているところもありますし、多くの学校では原則として授業中にはスマホを使用しないようにしています。これは学校全体の方針であり、一般的には子どもたちは学校の中で個人的にスマホを使っていないはずです。

長谷川:アメリカのとある会社ではコンサート会場でスマホを使わせないために、入場時にスマホをポーチみたいなものに入れて、出場時に機械に通すとポーチが開く機械を売っています。最近はその技術を学校向けにも提案しているようです。

アメリカではどのくらいの学校がこのシステムを導入しているのか具体的にはわかりませんが、日本でもより厳格なルールとして単に使用を制限するだけでなく、物理的に回収するという動きが見られるのかなとふと疑問に思いました。

川島:現実問題、学校や会社でスマホの管理が難しいという点もあります。スマホを失くしたり返せなかったりする事態も起こり得るため、日本の学校側はこの問題に対して慎重な姿勢をとりがちです。さらに、スマホを回収することで個人の権利の部分で大きく問題視されるでしょう。

例えば会社では、管理者が従業員に対して特定の行動を強制することはできませんし、同様に学校でも教師が生徒に対して無理強いすることはできません。現代の社会では、こうした行動が問題視されるということです。このような制限を時計と組み合わせる場合、会社のデスクなどでは相性が良いと考えられますが、子どもたちの学校での導入に関しては相性があまり良くないと思われます。

長谷川:弊社でも子どものスマホ依存を解消するために、ロック機能を備えた商品の開発を検討しています。スマホの使用時間を制限することは目的としてあるのですが、それによりどのような世界を作っていくべきかといった将来像についてもアドバイスをいただきたいです。

川島:要は、スマホを道具として使うことです。スマホは道具であり、上手に活用するための仕掛けなのです。ただし、アプリ自体が人々を依存へと誘う強い力を持っているため、個人の意志や家族の意思だけでは対処が難しい面もあります。そこで、ロック機能を持つ製品を利用して、少なくとも家族が集まる場面や子どもが学習する時間、そして睡眠時間など、スマホを制限するべき場面で物理的に切り離す仕組みとして活用していただくのが理想的かと。それを習慣化することで、個人や家族全体がスマホを効果的な道具として使いこなし、ICT社会で生き抜く力を身につけることが商品のメリットになると思います。

長谷川:スマホ依存に関しては、子どもだけでなく大人にもいえることなので、年齢関係なく使ってもらえそうだと考えています。

川島:そうですね。大人も同様に影響を受けています。会社員でいうと、仕事中や仕事後もスマホを手放せない状況は、実は企業にとってパフォーマンス低下の要因となり得ます。そのため、企業の経営者に対して、この問題に真剣に取り組んでほしいと考えています。例えば、仕事中にスマホを使用しないようにするために、休憩時間以外のスマホ使用は禁止するなどです。スマホを閉じておくことは、業務効率を保つために必要ですし、個人の権利と信頼にもかかわることです。

長谷川:大人になると、人生の目標や意義を見失ったり、ストレスが増加したりすることでスマホに依存する傾向が強まることがあります。この状況を避けるためには、自己の生活目標や時間の使い方を見直すことが必要です。統計的なデータはないものの、一般的な傾向として、スマホ依存が生じる背景には生活の充実度や自己肯定感の低下が関与していると考えられます。

これらの視点から、スマホの使用は単なる技術的な問題にとどまらず、人生や精神的な健康にも深く関わるテーマであることが分かります。したがって、企業がマーケティングや商品開発を行う際にも、こうした社会的な側面を考慮しながら、持続可能な使用を促進するアプローチが求められるのだと感じました。