【意見交換】高校生の視点から考える、睡眠問題を解決する新たな目覚まし時計とは?
とある高校生からアデッソ宛に「目覚まし時計を考案しているので意見をいただきたい」とのメールが届きました。その学生は、京都府にある花園高校で行われている「睡眠改革プロジェクト」に参加し、睡眠の問題を解決するための商品を提案し、改良を重ねているとか。
花園高校の「睡眠改革プロジェクト」に携わる茨城さん(右)と粟津さん(左)
そこで、アデッソはこのプロジェクトに参加する高校2年生の茨城さんと粟津さんとのミーティングを実施。代表取締役の長谷川大悟、副社長の長谷川賢悟と、プロジェクトの代表生徒として茨城さんが意見交換することに。彼らが考案している新商品の改善点やアイデアを掘り下げていきました。
高校生の睡眠にまつわる問題
長谷川大悟(以下、大悟):高校生は遊びや勉強など、やるべきことがたくさんあるので睡眠の優先順位がどうしても低くなってしまう印象があります。なので、茨城さんがなぜ睡眠について興味を持ち、このプロジェクトに参加したのか。何かきっかけがあれば知りたいです。
茨城さん:1日は起床から始まるじゃないですか。そういった意味で、睡眠は日常生活の中で避けられない存在だと思ったんです。さまざまな人が睡眠にまつわる課題や悩みを抱いている現状を知り、自分たちで解決できないかと思うようになりました。
大悟:特に学生さんはスマートフォンを使うことが多いと思うので、寝る直前まで動画やSNSを見ることで睡眠の問題に直結するという現状があると思います。スマホの光というのは刺激が強いので、睡眠の質にも大きく影響を与えてしまうんですよ。
茨城さん:寝る前はスマホ触ってしまいます。友達と夜電話したり、ゲームしたり、そんなことをしているうちに2時間しか寝られなくなってしまって……。結局、翌朝アラームをかけても起きれなて、昼夜逆転してしまいます。
粟津さん:寝る前が自分の自由時間なので、遅くまでスマホを見てしまいます。起きる時はつらいし、授業中寝てしまうこともよくあります。
目覚めのポイントは、アラームを止めることではなく、体を起こすこと
茨城さん:こういった睡眠に関する問題と向き合うために、私たちは新しい目覚まし時計を考案しています。この商品の特徴は、小さいルンバのような形をしており、360度不規則に動き回れること。アラームが鳴る時は、時計自体が動き回るか、振動で起こすような機能を備えられたらと考えています。
さらに、スマホと連動することで、音や音量の設定、睡眠の記録を実現します。事前にお送りした資料を見て、何かご意見ありましたら是非伺いたいです。
大悟:高校生でここまでしっかりと調べていて、素晴らしいと思いました。また、アプリ目覚まし時計と連動するというのは、これからどんどん出てくると思うので目の付けどころが良いですね。ちなみに、起床時に目覚まし時計が動き回るとおっしゃっていましたが、ベッドに時計を置いて寝る場合、落ちてしまう可能性はありますか?
茨城さん:基本的にはタイヤの取り外しが可能なので、アデッソの製品のように枕の下で使うことも可能です。動き回れるシステムは、実際に睡眠時に枕を使わない人や、薄い枕を使っている人(下に時計を入れると異物感があるため)からの意見を参考にしました。目覚まし時計を直接地面に置いて、それを止めに行くイメージです。タイヤを外してベッドの上で使う場合は、振動で起こしてくれます。
大悟:起床時に一番つらいのは、目を開ける時ではなく起き上がる時です。なので、動き回る時計を追わないと止められないという仕組みは、目覚めに導くための良い流れだと思います。
長谷川賢悟(以下、賢悟):私も体を起こす点に注目しているのが良いなと思いました。強引に目覚めさせるのは、従来のアラームより効果があるのかなと。
目覚まし時計とアプリの連動は便利だけど不便?
茨城さん:反対に考えられるデメリットなどってあると思いますか?
賢悟:スマホと連動すればわざわざベッドから出なくてもアラームが消せてしまうので、先ほどおっしゃっていたコンセプトからは遠ざかってしまうかもしれません。
大悟:あとは商品化するとなると、スマホ連動はコストがかかってしまうでしょう。アプリケーションを作り込まなければ、ユーザーからは使われなくなってしまうので。スマホとの連動は絶対的に便利だと思うのですが、アデッソがアプリと連動した商品を出していない理由はそこにあります。
大悟:もし自分たちが現実的に商品を出すなら、ユーザーにどのようなメリットを与えられるかを一番に考えます。そこにコスト面が現実問題として関わってくると思います。あとは、どのように不規則に動き回るかも考えなければなりません。ルンバのようにオブジェクトを感知して避けるようにするのか、もしそうでなければ何かにぶつかった時の保証はどうなるのかなど、ユーザーの懸念点となる可能性もあります。
茨城さん:物に当たってしまうと故障の原因になるので、目覚まし時計自体に緩衝材のようなものを包むのはどうですか。そうすることで、衝撃をできるだけ抑えられるかと思うのですが。
賢悟:オブジェクトを察知して避けるようなモーションセンサーを搭載すると、コストがかかってしまいます。なので、緩衝材のようなダメージを少なくする方法が一番現実的だと思います。 少し前に欧米では、体重計とアラームが一緒になっていて、その体重計に乗らないとアラームが止まらないという商品が出ました。「何かしなければ起きられない」という点を掘り下げていったら面白くなりそうだと思います。
茨城さん:アプリとの連携について、コスト面以外でデメリットはありますか?
大悟:あとは、ユーザーがアプリと連携させることに抵抗がないことも大切です。メジャーなアプリなら使いやすいのですが、商品と連携するためのアプリに慣れていない人もいると思います。特に高齢者の方だと、アプリをうまく設定できないという人もいるので、商品だけで完結させたいという意見もあります。
市場としても商品単体として使う方が現状は好まれる印象です。 とはいえ、睡眠時間や睡眠効率を記録して可視化できるといった機能を前面に押し出すなど、アプリの価値を主として生み出すのであれば、やった方が良いと思います。
茨城さん:私のお母さんが脳波や心拍数から眠りの深さを記録するアプリを使っているのですが、そのような機能も使えるようになるのでしょうか?
大悟:それをメインに据えてしっかり開発いけば、不可能ではないと思います。ですが、現実離れしたような数値を出す商品もいまだに多いので、課題が残っているのが正直なところ。睡眠を専門的に研究しているような会社でなければ商品化は難しい現状がありますが、それが広まれば近い未来実現できる可能性も0ではありません。
USBの充電式、乾電池の電池式
茨城さん:新商品を考案する際にアデッソの商品を参考にさせていただく中で、枕の下に目覚まし時計を入れるなら物体の厚みはなるべく薄い方が良いと思ったのですが、これ以上薄くすることで何か問題が生じることもあるのでしょうか? 参考にしたというアデッソの「ブルブル・クラッシュ」
大悟:乾電池を使っているので、その分の厚みが出てしまいます。ただ、USBを使って充電式にすることで、従来の厚み3〜3.5cmから2cmくらいには抑えられるかなと。
茨城さん:乾電池を使った充電のメリット、デメリットはありますか?
賢悟:正確にデシベルを測っていないので私の感覚的な話にはなるのですが、振動のアラームはモーターが回ることで振動を起こすので、USBの充電式の方が厚みが小さい分、モーターのサイズも小さくなります。そのため、充電式の方が電池式よりも音は小さいです。隣の人や周りの人を起こしたくない時など、シーンに合わせて使えると思います。
茨城さん:充電式を作る際の注意点はありますか?
大悟:気づかないうちに充電が切れてしまったという事態を避けるために、スマホと同じように常に残量を表示するよう工夫しました。
公共の場でも使える振動アラーム
茨城さん:アデッソの振動アラームは、「音のみ」「振動のみ」「音と振動」の3種類の機能があります。「振動のみ」はどのような時に使うのでしょうか?
賢悟:誰かと同じ部屋で寝る場合、起床時間が違うとアラームで他の人も起きてしまうじゃないですか。そんな時は、振動のみを設定することで、周りの人を起こさずに起床できます。特に日本の家の作りは、広くないと隣の部屋に音が聞こえてしまうこともあります。朝から他の人のアラームで起きるのはあまり良い気分はしないので、そういう時に振動アラームは有効です。
あとは、最近子供ができまして、夜中にミルクを与えなければなりません。授乳まではなるべく子供を起こさないようミルクを作りたいので、そういう時にも使えます。
茨城さん:2ヶ月前にオーストラリアに修学旅行に行ったのですが、飛行機に乗っている時にも活用できそうだなと思いました。
賢悟:「パワーナップ」という言葉があるのですが、さまざまな研究で正午から昼の3時くらいまでに15分間仮眠すると、パフォーマンスが上がるという結果が報告されています。なので、図書館やオフィス、飛行機など、音を使って起きれない場合には良いですよね。飛行機のシートは結構垂直になってしまうと思うので、ポケットに入れたり、抱えて持ってたりして使うのをおすすめします。
賢悟:USBの充電型の商品はお送りするので、ぜひ使ってみてください。
茨城さん:良いんですか……!ありがとうございます。